「子どもが壊れる家」の書評
この本は、異常な少年犯罪を生んだ家庭の共通点を分析し、親の過干渉とゲーム・ビデオの悪影響を明らかにしようとしたものである。広範な内容を客観的な事実や資料も挙げて要領良くまとめてある。個々のケースについてさらに検証が必要であるが、啓蒙書として十分な価値があり十分に評価に値する。著者草薙厚子氏は少年鑑別所の元教官で退官後フリーのジャーナリストとして活躍している。
Amazonの書評はあまり読まないし書評で購入を左右されることもないが、この本についた4編の書評を比較して面白いことに気がついた。評価が5点満点で1点か5点の両極端に分かれているのである。1点とつけた2つの書評の内容は辛辣である。ここまで公衆の面前で罵倒するのなら、自分の書評についても厳しく評価されるのを覚悟しているだろうから、そのうちの1つを下に引用して評価してみる。
この書評では「単なる『主観』を、強引に正しいものと結論付けているだけ」というが、草薙氏は主観だけを述べているのではなく、インタビュー記事や調査報告書などを多数引用してコメントしながら主張を展開しており、罵倒の根拠が全くわからない。「脳神経科学的なアプローチが皆無と言っても良い(ゲーム脳論争に関しては、否定的な決着がついていた筈では?)」と全否定しているが、実際にはpp.111-116で根拠を述べているし資料pp.170-173にも脳神経科学的な内容を引用している。ゲームの性格への具体的な影響についてはpp.124-136,pp.138-158,さらに資料としてpp.170-187を充てている。さらに書評では「内容は短絡的かつ類型的、一方的であり、自分の「直感」と称する根拠も客観的なデータも追試もない」と決めつけているが、この書評自体がまさに「短絡的かつ類型的、一方的」であると言わざるをえない。法務教官に従事した時期が長いか短いかは著者の主張が正しいか否かとはほとんど無関係で、このようなことを根拠にすること自体が初めに結論ありきの無茶苦茶な議論であろう。同様にもう一つの1点を付けた書評もゲームに対する批判が許せない、と感じさせる批評である。ゲーム脳については大脳生理学の観点から何れまた取り上げたいと思うが、いくつかのサイトで展開された議論でのゲーム愛好者のall or noneの主張を見ているとエキセントリックなものを感じて、それこそゲームの影響ではないかと疑いたくなる。
草薙氏の失敗は「直感」と明記してしまったことであろう。1点評価の2人ともそこを突いている。
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レビューを参考にした人8 人中、6人。 評価:1/5
タイトル:フィクションとして読んでみるのはどうだろう?, 2005/11/13
レビュアー: *****
少年犯罪がクローズアップされている昨今、親としては不安に駆られ、つい手にとって読みたくなるタイトルである。
ところがその内容は短絡的かつ類型的、一方的であり、自分の「直感」と称する根拠も客観的なデータも追試もない単なる「主観」を、強引に正しいものと結論付けているだけであった。(しかも時折矛盾あり。)
著者が実際法務教官に従事した時期は短く、取材も中途半端で恣意的であり、なんらの検証もない。特に、脳神経科学的なアプローチが皆無と言っても良い。(ゲーム脳論争に関しては、否定的な決着がついていた筈では?)
また、著者が母親に向ける辛辣でイジワルな視線が気に掛かる。不安を感じている母親が読んだら、ますます追い詰められはしないだろうか。容赦ない糾弾ばかりであった。
著者の言説を鵜呑みにするか否かは読者のバランス感覚に掛かってくるが、内容に関しては慎重に取捨選択をされることをお勧めする。
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