2005/12/23

ES細胞のデータ捏造論文

 今年5-6月に米科学誌「サイエンス」に掲載された黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授の論文が実は捏造データに基づくものであったことが暴露されて、韓国内に留まらず大問題になっている。

 黄教授研究グループの一人ミズメディ病院の盧聖一(ノ・ソンイル)理事長は、「幹細胞は存在しない」と宣言し、「黄教授に提供した卵子の総計は、およそ880個」「185個の卵子を利用して11個の幹細胞を作製した」という黄教授の主張と違うことを暴露した。盧理事長は一昨年7月から今年2月にかけ、黄教授に約1200個の卵子を実験用として提供したとを明らかにし、黄教授がES細胞作製に成功していたとしても「1000分の1程度の低確率」で、「黄教授は写真だけではなく、データもすべて偽造していた」と暴露した。黄教授の不祥事を暴露し始めた理由について、「黄教授から昨年、『あなたは何もしていないが、私がスターにしてやった』といわれた時から心は離れていた」と語り、一連の黄教授の釈明に対しても「我慢ならない」と改めて反発したという。また、米・ピッツバーグに派遣されている黄教授チームのメンバーの研究員(34)は、サイエンスに掲載されたES細胞11株の写真について「黄教授の指示で、2株の細胞を1株と偽って私が写真を撮った。論文は虚偽のものだった」と証言した。ウル大の調査委員会は23日に中間調査結果を発表し、暴露された事が事実であることを確認した。

 ソウル大学の最高位関係者は、「調査委員会の調査範囲は、2005年度のサイエンス誌に掲載された論文、2004年度のサイエンス誌論文、クローン犬スナッピーなどまで拡がるだろう」と述べ、同関係者は「ソウル大学の調査委員会には懲戒提案権も付与された」とし、「調査委員会の活動が終わり次第、学則などに違反したことが判明した教授を含む研究者に対しては、まとめて懲戒措置が取られるものと見られる」と述べた。さらに、ソウル大学の調査委員会は2005年度のサイエンス誌論文の真偽、黄教授研究グループの2004年度のサイエンス誌論文、今年8月公開された体細胞クローン犬「スナッピー」、1999年誕生したクローン牛「ヨンロンイ」の順に調査を進めることが分かった。

 朝鮮日報によれば、黄教授の重要な研究成果には、いつも予想できない「アクシデント」がついて回っているという。

<<以下朝鮮日報から>>
 もっとも最近発生した事故は、黄教授研究グループが2005年、サイエンス誌に論文を提出する2か月前の1月9日、犬の飼育場からカビが飛んできて培養していた幹細胞6個が死滅したというものだ。2004年3月12日、サイエンス誌への発表論文を準備していた際にも、研究室で4時間の停電事故が発生した。黄教授は2004年6月、寛勳クラブ(中堅記者による言論研究・親睦を目的とした集まり)でのシンポジウムで、「2003年秋に停電事故が起き、およそ100個の細胞群(コロニー)のうち2個だけを残してすべて死んでしまったことがある。再び実験を成功させる自信がなくて、 安圭里(アン・ギュリ)教授に明日、葬儀場を予約してくださいと冗談を言った」と述べた。しかし、朝になって黄教授が確認した結果、奇跡的に2個の細胞の固まりが「すくすく」と育っていたという。
 1999年誕生した国内初のクローン牛のヨンロンイは、論文がそもそも存在しなかった。 黄教授は、「それ(論文)をどこかに出しても、掲載される可能性もないから」と述べた。普通はクローン牛を作製する過程ではDNA分析資料であるマイクロサテライト(Microsatellite)で外部の検証を受けるが、これさえも行わなかった。黄教授は、「こうなることがわかっていたら大切に保管していたものを…」と述べた。
◆黄禹錫教授の主な業績と事故
日時/業績・発生事故/
1993年/国内初の試験管内授精子牛を生産/
1999年3月/クローン牛ヨンロンイ生産/論文未発表・DNA分析資料紛失/
1999年4月/体細胞クローン韓牛(韓国産牛)チンイ生産/
2002年8月/形質組み替えのクローンブタ生産/
2003年秋/研究室4時間停電で細胞コロニーが死滅/
2004年2月/サイエンス誌への論文発表(1本目)/
2005年1月/カビ汚染で幹細胞6個が死滅/
2005年5月/サイエンス誌への論文発表(2本目)/
2005年8月/ネイチャー誌への論文発表(クローン犬スナッピー)/
<<以上引用終わり>>

 黄教授は、ノーベル賞候補とも噂されていた人物で韓国の英雄だったらしいが、韓国の科学水準に対する信頼性を失墜させたばかりか、この分野の研究そのものに対する信頼性を揺るがすことになり、影響はかなり大きいようだ。科学者は1回でもデータを偽造したらその時点でもはや永久に科学者ではなくなる。それ以前の研究成果も評価はゼロになるだろう。しかしそれを見破ることは非常に難しい。黄教授は品性にかなり問題がある人物のようで、そこから亀裂が生じて捏造が暴露されたが、普通は関わった人間も同罪になるから内部告発によって明らかになることはあまりない。だから全く別の研究者による追試が必要なのだが、結果が正しければ追試は只の二番煎じであって初めての報告に比べて評価は著しく低い。したがって、単なる追試は普通はやらないのである。実験方法が面倒であればあるほど、最初に報告したもの勝ちということになる。限りなく怪しげな、あるいは明らかな捏造論文もいくつか知っているが、たいして価値のある研究でもないし、クズの相手をするだけ時間の無駄と思う。しかし、当の人物が研究についてしたり顔で話しているのを見るのは胸くそが悪い。

【追加】
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/12/20/20051220000021.html
の朝鮮日報の記事を見るともっとはっきりした証拠が上げてある。
<<朝鮮日報から引用>>
疑惑は「サイエンス誌論文に掲載された1番体細胞クローン胚性幹細胞の写真Dとミズメディ病院の1番受精卵胚性幹細胞の写真Bの一角が完璧に重なる」というものだ。ある幹細胞研究者は、「栄養細胞や点の模様まで完璧に重なり、一つの培養皿(シャーレ)にある幹細胞を撮ったものとしか思えない」と主張した。
(2)2004年度の黄教授研究グループ論文と2003年度ミズメディの国内論文?
 2004年度サイエンス誌論文に掲載された他の写真B、Dも、ミズメディ病院研究グループが、国内で発行する英文ジャーナルである『モレキュール・アンド・セル(Molecule and Cell)』に掲載された1番の受精卵胚性幹細胞B、E写真と同じだ。
 ミズメディ病院のモレキュール・アンド・セル誌の論文は2003年11月25日に提出され、12月17日に掲載が認められた。ステムセル誌の論文は2003年11月24日に提出され、2004年5月5日に掲載が認められており、黄教授研究グループのサイエンス誌論文は2003年12月9日に提出され、2004年2月4日に掲載が許可された。
 論文の提出時期もミズメディ病院が先であるが、各論文に掲載された1番受精卵胚性幹細胞は、すでに2002年度の論文として発表されたものだ。2003年提出された2つの論文は、この幹細胞と他の幹細胞などを比較する内容だ。
<<引用終わり>>
200512200000211in_05

【追加2】
韓国政府はこれまで70億円もの研究費をこの教授に与え、さらに次年度20億円を追加する予定だったらしい。韓国ならその5倍位の法外な研究費だ。評価能力がないのでこの詐欺師の本性を見抜けなかったのは当たり前なのだろうし、ノムヒョン大統領の政治的な手腕を見ていても頚を傾げるところが多いが、それにしても、韓国のレベルを露呈したことには変わりないだろう。政治の世界の話だったら適当に取り繕えたのだろうが、科学の世界でをつき通すことはできないということだ。

【追加3】
産経新聞は、この詐欺事件の背景を次のようにまとめている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051224-00000001-san-int
<<ここから>>
 世界まであざむく結果となった“黄教授騒動”の背景については(1)韓国でよく見られる成果や業績を急ぐあまりの拙速(2)国際的な配慮や慎重さを欠いた視野の狭い「やっちゃえ」主義(3)政権の業績にしたい政府の過剰な期待と支援(4)「やった、やった!」あるいは「ウリナラ(わが国)最高!」的な世論の愛国主義−などが複合的に重なった結果といわれる。
<中略>
 世論が一色となって異論、異見を許さない雰囲気になるのだ。“反日”のような外交、政治問題はもちろんとして、今回は冷静な学問的判断が求められる科学分野にまでそれが広がった。事件の反省点として「過剰な愛国主義」も挙げられている。
<<引用ここまで>>

残念ながら日本にもそういう風土があると言わざるをえない。
 
【追加4.20051230】
12月29日にソウル大調査委員会が、残りの2株と、論文提出後に作製したとされる5株について検査した結果、体細胞提供者のDNAと一致せず、偽物と結論づけた。7株はいずれも共同研究者が経営する病院で作製された細胞と判明した。現在まで患者組織から作製されたES細胞は一つも確認されておらず、作製したことを示すデータもないとしている。結局この黄教授は全く無いものから論文をでっち上げた訳である。

 これは極めて深刻な問題を露呈した。第一に、完全な捏造論文を出す研究者がいるとい事実、第二に、権威ある雑誌SCIENCEであっても捏造論文を見抜けず掲載してしまうという事実、第三に、これまでの論文のどれが信頼できないのか見分けがつかないこと、である。膨大な数の論文が捏造でないかを再チェックするなど不可能なことだ。


【追加5.20051231】
東亜日報は、同大調査委員会関係者の話として、2004年2月の論文で世界で初めてヒトクローン胚から作製したと発表した胚性幹細胞(ES細胞)についても偽物であることを示す1次分析結果が出た、と報じた。昨年の論文も虚偽となれば、黄教授はクローン技術を応用してES細胞を作製する技術すらなかったことになる。

なんだ、ただの詐欺師だったということか。もう書いてもしょうがないので、これでやめよう。

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2005/12/11

科学者にはなりたくない

朝日2005年12月10日によると、
 神戸大の小川正賢教授(科学教育)が2003年にに実施した国内の中学3年生560人分のデータを分析した結果、理科については「面白くて他の教科より好き」が33%、「面白いがもっと好きな教科がある」が32%、「面白くなく嫌い」が33%と三分された。「面白くて他の教科より好き」と答えたグループは、「能力や才能を発揮できる仕事をしたい」が92%、「重要で意味があると考える仕事をしたい」が87%。さらに「科学は社会にとって重要」との回答も87%にのぼった。ところが、「科学者になりたい」との回答はわずか34%(男子44%、女子19%)で、男子の56%、女子の81%は「なりたくない」という。

 ある予備的な調査によると、各国の子どもたちの科学者に対するイメージの中で、日本の子どもはマニアックで暗いイメージの科学者を描く傾向が強かったという。小川教授は「科学者が身の回りで普通に生活している現実味のある存在として見えていないからではないか」と話している。

 科学者になりたいという回答が34%ということは、全体の10%ということになり、これをどう分析評価するかということになる。中学3年生は高校受験を翌年に控えている学年であり、その3年後の大学受験を視野に入れた選択を要求されている時期であるから、ある意味では科学に対する興味と実際の選択肢としての科学者への道を選ぶこととの間にギャップが生まれるのは仕方がないのだろう。

 しかし、子供達が科学者になる夢を捨ててしまうというのは社会構造に原因があると思っている。政治家を始めマスコミ人など日本をリードすべき人達の科学研究に対する理解はお粗末としか言い様がない。すぐに役に立たない実用に結びつかない研究にお金を使う事は無駄遣いであると決めつけているし、科学者の評価に耐えるテレビ番組はほんの数える程度で大方は興味本位の取り扱いでマジックショウと同じである。政治家で教育を含め科学研究の必要性を認識している人はほとんどいないようで、何より、俵百俵と言った総理大臣が自ら大学を崩壊させつつあるのに、それを全く分かっていない。サッカーと同じで、社会の裾野に広がりが無ければ、科学の発展は期待できない。この現状は、日本の産業を支えていた中小企業が衰退していく現実と同根である。このままでは、日本はダメになる。

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2005/11/27

グレシャムの法則

 1558年イギリスの商人兼金融業者でエリザベス女王の王室代理人であったグレシャムは、品位の劣る鋳貨が品位の優良な鋳貨と同時に流通に投ぜられるとき,品位優良の鋳貨は退蔵されるか鋳潰されるか,あるいは輸出されて姿を消し,悪貨のみが流通して貨幣価値が低下して経済を混乱させることを女王へ進言したという。実際、金銀複本位制のとられていた19世紀後半のフランスや日本などでは国際価値との差によって金貨が海外に流出した。このことから「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則は普遍的な法則として確信されることとなった訳である。この法則は、幣価値以外にもしばしば質の悪い一部が次第に全体のレベルを低下させる例えとして使われる。

 1978年ノーベル経済学賞を受賞したハーバード・A・サイモンは、「ルーチンな仕事はノン・ルーチン(創造的)な仕事を駆逐する」という「計画のグレシャムの法則」を提唱したという。日常の些細な仕事・業務にばかりに追われていると、長期的な計画を考えなくなってしまうというのである。
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0369.htmlに「キャリアの平和ボケ度」チェックリストといのがあるので引用しておく。
□ここ3年間の仕事を振り返ってみて、1年ごとにステップアップしているというより、同じレベルの1年を3回繰り返しているような気がする。
□転職するしないにかかわらず、自分の労働市場における人材価値(例えば年収換算にしていくらくらいか)に意識を払ったことがない。
□5年後の仕事上の目標や、理想のキャリア像・ワークスタイル像を語ろうとすると頭がうやむやになる。
□「私のような人材は、ここに留まっているほうが無難だ」とついつい保身的に考えがち。
□この3年間に、社内報(もしく社外のメディア)で取材されてもいいくらいの成功物語、成長エピソードの情報ネタがない。
□業務上で行われている会社内の過去の慣習や方法を自分なりに変えて、社内に提案したことがない。
□未来よりも、まず現在に不安を感じる。
□ここ最近、後輩社員が自分よりもいい仕事をしているなぁと思う機会が増えた。
□日々の業務処理で、頭とカラダはめいっぱいである。ちょっと疲れぎみ。
□「うちの会社に限ってリストラはない」と思う。

これはまさに自分自身が直面する問題のリストアップであるが、まだこうならないようにという気力がある。該当すると思うのは9番目のちょっと疲れ気味の項目であろうか。

 しかし、日本の置かれている状況はまさにこれであろうと思う。政治家の間では、無駄をなくすとか増税をすべきか、いや早すぎるとか瑣末な議論ばかりが横行し、実際に760兆円とも言われる莫大な負債をどのような年次計画で解消していくのかという骨格の議論に一向に収束しない。政治家そのものが悪貨に駆逐された状態なのかもしれない。

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2005/08/26

アスベスト付き金網とでんでらりゅーば

 アスベストというのは昔は種々多用な使い方がされていた。天井などの吹きつけ塗装なんていうのより、むしろ、車のブレーキパッドや耐熱性が要求される製品のちょっとした所に当然のように使われていた。最も原始的な使い方はアスベスト付き金網であろう。これは小学校の理科の実験で、三脚の上に置いてその上にビーカーやフラスコなどのガラス器具を置いて、ガスの炎が直接当たらないようにするために使われた。溶液の一部の急激な加熱を避けるためと、もう一つは、ガラスの破損を防ぐ目的で使われたのである。昔のガラス器具は熱に非常に弱かったので、ガスに直接かけるなどというのはできなかった。調べたら私の実験室にも4枚のアスベスト付き金網があった。しかし、購入したのは5−6年前だったので、アスベストなのかどうなのかよく分からない。塗ってあるのがセラミックなのかもしれないが、注文するときにアスベスト付き金網で出している可能性が高いので、どこかの倉庫の隅から古いgenuin asbestの製品を引っ張り出してきた可能性も捨てきれない。注文した本人が、これほどの危険性を認識していなかったのだから。

 最近、研究室にアスベストを使った製品について調査が頻繁に来ている。上記の金網位に考えていたが、はたと思い当たったのが大型の電熱乾燥機である。仕掛けは、棚の底に太いニクロム線が敷き詰めてあり、サーモスタットで熱を調節するだけの極めて単純なしかけの器具である。洗浄したガラス器具やピペットを乾燥したり、不純物を熱で焼いてしまうために使われる。思いついたのは、その扉のシール部分がどうも石綿臭いのである。メーカーに問い合わせて貰ったら、思った通り石綿で、しかも他の部分にも大量に使われているとのこと。交換は不可能、では下取りとかしないのか、という問いにも無理とのこと。20年も前の製品だから仕方がないが、毎日使う器具なので早速新品を購入することにした。多分、法的な規制が施行される前だったのだろう。それにしても、またしても政府はケンチャナヨでやっていたのが暴露された。クボタの工場の問題からどんどん拡大しつつあるが、被害は相当な規模になるであろう。20年、30年経って大変な問題となってようやく対策が検討され始めた。薬害エイズ問題と値は同じで、いつまでも学習できない国民性なのか。

 話かわって、子供の頃、長崎出身ではないが、近くのおばさんから妙な歌を教えて貰った。

でんでらりゅうば でてくるばってん
でんでられんけん でーてこんけん
こんこられんけん こられられんけん
こーんこん

韓国の歌か何かだろう位しか思っていなかったが40年も経ってやっと分かった。長崎の童歌のようなもので、

「出ていかなければ 出てくるけど
出られないから 出てこないのだ
行けないから 行かれないから 行かない」

とう意味なのだそうだ。なぜこの歌を思い出したかというと、夕べ見た「解夏」という純愛映画にこの歌が出て来たのである。磯村一路監督、大沢たかお、石田ゆり子主演。難病ベーチェット病にかかり、失明していく主人公とその恋人の葛藤を、長崎市の美しい風景を背景に描きだした叙情的な純愛物語、というより大人のメルヘンというべき作品である。原作は長崎出身の歌手さだまさしである。「解夏」という題名のように、失明までの苦悩と悟りの意味を教えてくれる内容であるが、さだまさしの作品らしく、やはり心の底を揺さぶるような感動はなかった。

 ベーチェット病は現在でも原因不明の難病で、1937年にイスタンブール大学皮膚科学ハルーシ・ベーチェット教授が報告したことから名付けられた。口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼のブドウ膜炎、外陰部潰瘍を主な症状とする全身性の病気で、急性炎症性発作を繰り返しながら慢性の経過をとる。20才代の後半から40才にかけての発病が多く、60-70%に眼の症状が現れ、40%はほぼ失明状態になるという。日本の有症人口は約2万人。聖マリアンナ医科大教授坂根 剛先生によれば、好中球が過剰に活性化されてしまうために、全身的に好中球高活性化症状が起こるのではないかといういうことが、白血球の遺伝的抗原のHLA-B51遺伝子導入トランスジェニックマウスの実験で提唱されている。ある面で、自己免疫疾患と似たメカニズムなのかもしれない。

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2005/08/23

serendipityとケンチャナヨ

 先週金曜に、高校の同級生で医学部の病理の教授が、私のいる大学の医学部教授ご招待で講演に来た。HIVに関する講演だったが、その中でserendipityをキーワードに話題を提供していた。serendipityというのは、思いがけないものの発見、運よく発見したもの、というような意味からスリランカという意味まで幅広いが、科学の重要な発展には少なからずserendipityの要素が関係していることが多い。
 例えば、どこまで真実なのかは分からないが、ペニシリンの発見は、実験助手が来日も来日も培養皿に生やした菌の分離をやらされ、目的のものを得られないので嫌気をさして鼻くそを入れたら偶然にその中に青かびがいて、それで発見したという話がある。また、ある有機化学の研究者が手を洗わずにパンをほうばったら甘かった、それでサッカリンが甘いということを見つけた、という話も聞いたことがある。偶然に偶然が重なっていい結果に結びつく、というのは研究の世界に限らず起こりうるものだが、それを奇跡と称する場合もある。しかし、重要なのは、そういう思い掛けない結果が得られた時に、その価値をきちんと評価できる目を持った人間が居た、ということが必要なのでああろう。素晴らしい発見、あるいは発明の裏にはその目的達成に対する強い意志と洞察力が必要不可欠で、それを持った人間にしか成しえないことなのだろうと思う。

 さて、衆議院選挙が近づいてきたが、小泉の欺瞞に満ちた政治を国民がどのように判断するのか、気になるところである。彼は郵政民営化に対して反対票を投じた議員の選挙区に対立候補を立てて徹底的に追い込み、相変わらず郵政民営化が選挙の争点だと叫び続けている。しかし、マスコミの反応も、それだけでは面白味にかけるし能がないので、段々と他の政治的課題についても争点として取り上げるようになってきた。喜ばしい限りである。

 しかし、一方では
(引用はじめ)
自著の中で、「選挙にはほとんど行ったことがありません。面倒くさいからです。」って堂々と書き、選挙なんかよりも金儲けのほうが大事だってことを力説してるクセに、平然と立候補できるなんて、ツラの皮だけじゃなく、顔面の皮下脂肪の厚さも3cm以上はあるだろう。
(引用おわり)
と、きっこのブログで酷評される堀江に群がってガンバッテーと声援を送る愚民の声がニュースで流れる。

 さらにきっこのブログでは、藤野真紀子について
(引用はじめ)
(堀江の)上を行くバカが、愛知4区から出馬した料理研究家の藤野真紀子だ。記者会見で、どんな選挙活動をして行くのかって質問されたら、こんな呆れ返るセリフが飛び出した。
「私のように政治に関心の無い人たちと、ティーパーティーでもしながら、気楽に政治について語り合って行きたいと思います。」
おいおいおいおいおーーーーい! 百歩ゆずって「ティーパーティー」はいいとしても、「私のように政治に関心の無い人たち」って、そんなヤツが立候補すんのかよ?愛知県もナメられたもんだな‥‥。ま、こんなアホが当選するようなことにでもなったら、ニポン中から、「愛知県民はバカばっかりだ」って笑い者にされることは、中居正広に水子の霊がついてることと同じくらい明らかだろう。挙句の果てには、記者会見で、「藤野さんは、カリスマ主婦としては有名ですが、政治はまったくの畑違いだと思うんですが?」って、ちょっとイジワルな質問をされたら、ハンニャみたいな険しい顔をして、「料理も政治も同じです!」って断言しやがった。料理も政治も同じなら、コイズミの代わりに道場六三郎を総理大臣にしろ! こう言うバカ女は、一度、平野レミを呼んで来て、レミパンで後頭部を思いっきり殴ってもらいたいもんだ(笑)
(引用おわり)
だそうだ。

この人達の頭の中はケンチャナヨかアイタペアペアなのだろう。自民党小泉教信徒にはもっと笑いを期待したい。

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2005/07/17

またこんな人が出て来た

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 日本テレビ系で 世界一受けたい授業!! というのをやっている。昨日、番組宣伝で「Aha 体験」としきりに宣伝していたので、興味が湧いて見てみた。
 番組の中で茂木という人が、大きな発見の殆どは「ひらめき」であり、脳の活動の中で「ひらめき」が最も重要である、という。その例として、いわゆるだまし絵をいくつか出して、これが何に見えるかでひらめきの程度が分かるという。出処は紹介しなかったが、ほとんど(恐らくは全て)がインターネットにあるかヒントがありそうなものばかりで、パクリであろう。インターネットで拾ったものを貼り付けておく(最初の絵はhttp://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/menu-j.htmlから)。出処も明示せずに番組で使うというのは研究者としては失格である。そもそも、このネタは茂木氏のひらめきでもないし、別に最近分かったことでもない。それに、ひらめきというが、発想は経験に裏打ちされたものであり、普通の人間が普通に閃いたものが大きな発見として世に影響を与えることはまずあり得ない。エジソンが天才だとは思わないし自分でもそう思っていなかったのだろう、天才は99%の努力と1%の才能だ、と言っている。努力すれば天才になれる訳でもない。
 さて、茂木氏の略歴を見てみると理学部を出て法学部に入り直し、再度理学部大学院に入られたようである。この人の発言やホームページなどを調べてみると、明らかに文系人間である。どれくらい素晴らしい論文を世に出しておられるのだろうとWeb of Knowledge で調べてみたが、IF付きの論文は3編しか出てこなかった。しかもtop authorとしては1999年に1編だけで、この論文は1度も他に引用されていない。これで脳科学者?(驚愕)。他、PERCEPTIONという雑誌に5編ほどあるが、何れもsupplement (多分、学会要旨)である。
 出演者の誰かに、日本で最もノーベル賞に近い人だとおだてられると「貰えるものなら」とまんざらでもなさそうな答えである。因に、Aha Experienceもチェックしてみたが、拾い出せない。所詮、テレビ番組なんてこんな程度で、世界一受けたい授業!! がただのお笑い番組あることがよく分かった。「ところさんの目がテン」のような質のいい番組を見習いなさい。

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2005/07/16

SPAM じゃないんだが

 7月14日から突然、The 14th Annual Growth Factor and Signal Transduction Conference 遺伝子関係の学会のお知らせが届くようになった。申し込みの締め切りが7月22日だというのだが、誰かが親切に宛先リストに登録してくれたんだろう、と思っていた。ところが、それからひっきりなしにメールが届くようになった。最初は、このメーリングリストから削除してくれという内容だったが、それが全員に配信されるものだから、次から次に削除してくれメールが配信されるようになり、殺到する問い合わせが配信されSPAM状態になった。「ウイルスだ」とか見当違いのメールまで投稿されるようになった。さらにそれに腹を立ててメールしてくる奴がいる。

 まさに無知による悪循環である。返信する時に、To:を管理者か発信者にすれば良いだけの話なのに、この人達はなんて物を知らないんだろうと思った。アメリカ人だってこの程度だ。そもそも、Reply-To: が設定されているからそれを外せば終わりなのに、なんて間抜けな管理者だろう。夜中じゅうメールが届いていたので、朝、受信のサーバーの設定でこれらのメールをrejectにした。これで静かになる。

 一昨日木曜、昼からの会議の時間を30分間違えてしまい、休憩室で茶を飲んでいたら事務官から「今終わりました」と声をかけられ絶句。15分しかかからない会議に、わざわざ1時間もかけて出席するのに、間抜けなことをしてしまった。昨日は昼からちょっと時間があったのでマウスの実験。一歩進展。夕方セミナー。

 4,5日前から1日じゅう変な頭痛がしたり、体調が思わしくないので、気になってかみさんに血圧測って貰ったが、90-150と高め。しかし、朝、起きがけに100-150もあり、こんなに高いことは無かったんでどうもおかしい。気になって糖尿の検査をしてみたら+++、血糖値を測ったら食後2hrで230mg/dl。糖尿病状態に突入している。明らかにストレスと不規則な食事のせい、それに確実に老化が進行している。当分酒を控えることにした。来週の飲み会はキャンセル。

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2003/10/13

理系の研究者意識

これはないだろう・・・

<<読売>>
2003年10月13日(月)理系の研究者意識「現実志向」に…文科省調査
「調査は昨年12月―今年2月に、民間企業や大学などの科学者と技術者計2000人を対象に実施。約68%の1355人から得られた回答を集計し、1993年の調査結果と比較した。
 研究者になった理由は「科学技術に夢を感じていた」が23%で93年より10ポイント減少。「自然の真理を探究したかった」は19%で13ポイント減った。一方で「有益なものを作り出して社会に貢献したかった」は34%で10ポイント増えていたという。 「あこがれ志向」から、物作りで社会の役に立つ「現実志向」に変化してきた。
 同省調査調整課では「家庭や学校などで、夢のある科学の世界に触れる機会が減っているのではないか」と分析している。」
<<記事おわり>>

 一体何を言ってるんだろう。地方国立大学では研究費削減によって研究が危機的状況を迎えようとしているのに、その施策の張本人の文科省は「夢のある科学の世界に触れる機会が減っている」だと。応用の効かない研究への研究費を大幅に削減してすぐに役立つ研究にしか配分しなくなったのは、文科省の政策ではないか。その一環が国立大学の独立法人化ではないか。

 小泉政権下で、科学がなんたるかを全くわかってない木っ端役人が造った独立法人化政策は国家百年を誤る悪政として歴史に刻まれるだろう。 俵百票と言ったのは、いったい誰なんだということだ。

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